キジ(雉殿)Green Pheasant 42-1

トピックス;キジ『声が名をなす』『本邦特有の美麗な鳥、里地で観ることができます。』『古名は「キギシ、キギス(木木須)」とも云われています。』『日本特有の鳥として最も特徴のある種類でその姿も非常に立派です。』『A Kind of Japanese Birds』

和名「キジ」漢字で「雉」と書きます。『昔は日本全国に沢山いて日本人にとってたいへん親しみ深い鳥、古来、桃太郎の話やことわざや伝説が残っています。』

画像 いつも名付けを調べている「大言海」冨山房発刊(昭和7年)では『雉:[きぎし、きぎすの語源ヲ見ヨ]キギシ。キギス。鶏類ノ鳥、山ニ棲ム、頭、頸、胸、腹、翠黒ニシテ、光リ、眼赤ク、觜蒼クシテキ尖リ、背ノ羽、彩色アリ、雄ハ冠、紅ニシテ、耳邊ニモ、時々、紅肉ヲアラハシ、腰ニ、緑ナル長毛アリテ、文彩、美ナリ、雌ニハ冠ト長毛ト無シ、共ニ飛ブコト速ナレドモ、高ク翔ルコト能ハズ、』と記述しています。
そこで更に詳しく『キギシ:雉』を調べますと[きぎハ鳴ク聲、ききん、今、けんけんト云フ、しハ、すト通ズ、鳥ニ添フル一種ノ音、うぐひすノ語言ヲ見ヨ、きぎしノ、きぎすト轉ジ(夷:エミジ⇒えびす)今ハ約メテ、きじトナル、雉ノ古名。倭名抄十八では「雉、木木須、一云、木之(きじ)」と説明しています。
つまり、『「キギシ」が転じ「キキシ」となり中間の「キ」を約し「キシ」となり、』その後、転じて「キジ」と呼んだ模様です。また、雉の鳴聲の表現も「ききん」が転じて昭和初期の時点でも「けーけーん」と表記しています。

画像 また昭和22年,今から64年前に発行された改訂増補「日本動物図鑑」では、この「雉」について「鶉鶏目、キジ科」として17種の記載があります。現代鳥図鑑では「鳥目」が違いますが「鶴目、キジ科」は4種です。
この中での内容は『きじハ本邦特有ノ中形ノ甚ダ美麗ナル種類ニシテ、形態雄偉、色彩華美ナルノミナラズ、猟トシテ極メ趣味深ク、肉味亦佳ナル以テ古来人ノ熟知スル種類ナリ、雌雄著シク色彩ヲ異ニシ,雄ハ背ハ黑・銅赤色・黄色ヨリ成ル複雑ナル斑紋ヲ呈シ、雨覆羽及ビ腰以下ノ部ハ灰蒼色又ハ灰緑色ニシテ上尾筒の羽毛ハ分裂シテ毛状ヲ呈ス、體ノ其他ノ部分ハ主トシテ黒色ニシテ金晼乃至紫色ノ強キ光澤ヲ有ス後頭部ニハ2個ノ耳状羽起立シ、顔ハ大部分皮膚裸出シ美シキ赤色ヲ呈ス、尾ハ著シク長ク楔状ヲナシ美シキ10數個ノ竹節斑アリ 翼長230mm内外、尾長230mm内外、嘴峰30mm内外、雌ハ大サ雄ヨリモ小ニシテ全身淡黄褐色ヲ呈シ一面ニ黒斑アリ、本州・四国・九州・ノ山間部極メテ多ク、地方ニヨリ羽色ニ多少ノ差異アリ、きじ、きたきじ、しまきじ、きうしうきじノ4亜種ニ區別セラル。』と記述しています。
さて、この雉は本邦特有の種で學名の名付け親は籾山徳太郎さんで『 Phasianus versicolor tohkaidi 』となっています。各々、ラテン語及びラテン語化されていますが、ここで身勝手に和訳するとすれば『ファシアナス(キジ)ヴァーシカラー(光線によって色が変わる)トウカイディ(東海の??):東の海の光りで色の変わるキジ??』と読んでしまいました。
しかし、現代本邦汎用鳥図鑑の学名は『Phasianus Coluchcus』となっており第一學名はラテン語で“キジ”、第二学名は“黒海の東に面する古代国家名のコルキス”を表しています。
一方、英名は『Green Pheasant:緑のキジ』ですので「色が名付け』ですね!


画像 戦後の昭和22年に日本野鳥学界が「キジ」を国鳥として認定しましたが、国鳥に選ばれた理由は、「日本特有の鳥として最も特徴のある種類でその姿も非常に立派な鳥」と云うことです。しかし「キジ鍋」などで知られているように「狩猟対象として最適であり、肉が美味」と云うことでご先祖さん達の貴重な冬季のタンパク源として貢献した鳥とも云えますよね!
このことは清棲幸保(きよす ゆきやす)さん著、保育社「原色日本野鳥生態図鑑昭和34年発行(山野の鳥編)」の中で戦後、猟鳥でもあったこの鳥はその数が激減し激しく捕獲数を制限して許可している状況で『国鳥「キジ」の運命も今や旦夕に迫っている』の旨を記述しており、半世紀以上前から違った形の絶滅危惧種論が湧き上がっていたと思います。


画像  今まで雄の「キジ」を観察した際、何時も頸を持ち上げて全方位を観ているように思えます。特に、立ち止まって「カメラ」を向けると殆どクルリと方向転換し尾羽を見せます(いつでも逃げことが可能な姿をとっているようです。)一般的に鳥の左右片目視野の両方合わせた範囲は320~350度(人間は200度)程度で複眼(立体視)視野は5~20度(人間は約6割の120度)程度の範囲だそうです。大形の鳥ほど人に対して警戒心が強く一定の距離を確保して身を守っているように思えます。やはりこの雉は広範囲に亘る情報収集担当かもしれませんね!
このような警戒心の強い「キジ」も河川沿いや圃場等の里地・里山近くに棲息していますが、現代では人里鳥かもしれません。冬季には同姓同士で群れを作るそうですが、春先にかけて連れ合いを求め雄同士競争し「♀」を娶り蕃殖期は4月から7月の『愛の寿期』を迎えるそうです。番の幸!多かれと願うばかりです。
ここで、大きく話を変えましてイギリスで発刊している鳥図鑑「RSPB Birds of Britain and Europe」Rob Hume著P 123でこの鳥のヨーロッパ大陸での棲息状況を調べてみます。
その説明は『The Pheasant has been introduced into large part of Europe, and the males’loud crowing at dusk are distinctive over much of the countryside. The status and behavior of this species are difficult to specify because of the frequent presence of young birds reared and released, unprepared for life in the wild, to be shot.
“Wild” birds frequently resort to marshy, reedy places, as well as woodlands edges where they are most familiar and characteristic.

画像
キジはヨーロッパの大部分のところへ持ち込まれていた、夕暮れの雄の大きなカー(カーカー)という鳴く声は多くの田園地帯での特徴を示している。
この種類の棲息状況と習性を具体的に挙げることは難しい 若鳥はいつも飼われて、自由に解き放されており、野生の中で暮らす態勢が整っていないため、撃たれてしまう(*キジは古くから狩猟鳥としていために世界各地に人為的に移入されている。)。
野性の鳥(野鳥)は湿った葦がある場所、並びに、森林地帯の端が最もよく知られていて頻繁に行き来している。
Occurrence(出現場所)
Very local in Spain, Portugal, and S Scandinavia but widespread through mid- and W Europe. Found widely in varied habitats, chiefly in very mixed countryside, in arable fields, woods, reedbeds, heaths, and moorland edges.
スペインとポルトガル及び南スカンジナビアは特定な地域だが、中央・西ヨーロッパでは広範囲、様々な棲息場所の中で幅広く観られる、特に、土地利用が入り混ざっている田園地帯で耕地、森林、葦原、ヒース(荒れ地)及び湿原地など、

画像 Nesting(営巣)
Hollow on ground, under overhanging cover such as brambles, unlined or with thin scattering of grass stems, 8-15 eggs、1brood; April-July.: 垂れ下がったイバラのような茂みの下の、内側に敷材がなくまばらな草の茎の地面の窪み、1腹、8-15個, 4~7月
Feeding(採餌)
Takes all kinds of food, from seeds and berries, to insects and lizards, from ground in its powerful bill.:その強靭な嘴で種子そして小果実(ベリー)から地面の昆虫、やトカゲ類までのあらゆる餌を摂っている
Whirring Wings (バタバタという翼音)
The call of the richly patterned male Pheasant is followed by a sudden durst of wingbeats that create a way brief, loud whirring sound.
豊かな羽模様の雄のキジの鳴声は突然、大胆に羽ばたきを行い、簡単な方法で大きなバタバタと云う音を出することになる。』と云う記述しています。

画像 前述の「RSPB Birds of Britain and Europe」の兄弟図鑑『Pocket Birds of Britain and Europe: Jonathan & John共著p101』の内容を覗きますと次のようになっていました。『The male pheasant is a conspicuous, noisy birds, although very variable, with or without a white neck ring but always with a bold red wattle around the eye. The female is more anonymous-looking and secretive, but long, pointed tail is very distinctive. :オスのキジは目立ち、騒がしい鳥で非常に変化がある。頸に白い輪の有無かかわらず、常に、眼の周り目に赤い肉垂があり、メスはより一層人に知れないように見え、そして、隠れたがる、しかし、長い先の尖った尾羽はとても特徴的である。』と記述しています。
ヨーロッパではどこでも一般に観ることの出来るこのキジに対して棲息状況の著者の特記事項はなさそうですね??





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この記事へのコメント

とても勉強になります
2012年01月30日 18:30
 はじめまして。
 野鳥の丁寧な解説をありがとうございます。身近な鳥たちの詳細まで綴られており、とても勉強になります。
 「ドバト」について調べておりましたら、こちらにたどり着きました。有益なお話に接し、うれしいです。
 またお邪魔いたします。
 こちらは、ドバトの様子を綴っております。
 http://louvre608.cocolog-nifty.com/

 それでは、失礼いたします。
 

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