ダイゼン(大膳) Grey Plover 047

ダイゼン『名付け方が判らない』『嘗て、肉の味がよく宮中料理のレシピに登場かも!』『飛翔時のダイゼンとムナグロの識別点は脇羽が黒色である事だそうです!』

和名「ダイゼン」:漢字で「大膳」と書きます。日本へは旅鳥・冬鳥として渡来しています。西三河国、西尾藩の一色海岸で出会いました。この鳥は江戸時代にも大膳(シギ)料理のレシピがあるとも云われ大皿に盛られていたかも知れませんね

画像  戦後直後に発刊した改訂増補「日本動物図鑑」P196では次のような説明があります。『本種ハ習性・形態共ニむなぐろニ類似スルモ遥ニ大形ナルコト、腋羽ノ黒色ナルコト(むなぐろハ灰色ナリ)、及ビ後趾ヲ有スルコト等ニヨリ識別シ得ベシ、額・頸側・軆側及ビ下尾筒ハ白色ニシテ、其他ノ上面ハ地色黒ク黄白色ノ斑點アリ、尾羽ハ白色ニシテ多数ノ黒帶アリ、顔・喉・胸ハ黒色ナリ、嘴ハ黒色脚ハ灰黒色ヲ呈ス、冬羽ニテハ背面灰褐色ニ黒褐色ト白色ノ斑點ヲ有シ、下面ノ黒色部ハ白變シテ租ニ灰褐色斑點ヲ散在ス、翼長200mm内外、嘴峰30mm、本種ハ東部しべりあニ於テ蕃殖シ中國・本邦等ヲ經テ印度・まれー半島・濠州等ノ各地ニ越冬ス、本邦ニテハ秋季群ヲナシテ全國ニ渡来シ、好箇(こうこ:打って付け)ノ猟鳥ナリ、少数ノモノハ本邦ニ於テ越冬ス』と解説しています。

 この比較として「ムナグロ」の解説を再掲示しておきます。『本種は秋季本邦に渡来し耕地水田等に群棲し好箇の猟鳥なりとして狩猟家の間に周知せられ、體の上面は黒色の地色に黄金色及び少許の白色班點を密在し、額・眉斑及び之に續く上胸側の部分は白色他顔及び體下面は黒色なり、其他顔及び體下面は黒色なり、嘴は黒色、脚は蒼灰色なり、本種は冬羽にては背面の黄金色は淡色となり下面の黒色部は白變し租に灰褐色斑點を混ず、此等の變化は其の中途に於ては中間型を出現す、大さ翼長165mm内外、嘴峰24mm,本種はアジアの東北部にて蕃殖し本邦・中國南部・印度・マレー・濠州等ノ地に越冬す、樺太以南臺灣迄に秋季多數渡来す』と記述されています。この内容からすると「ダイゼン」は「ムナグロ」と棲息地がほぼ同じですが、翼長は一回り大きく胸元の色模様は黒灰色系と云えます。当然の如く渡りは共に行動していることが確認できました。このように繁殖地もしくは越冬地へと移動するため本邦に立ち寄ってくれています。
 ダイゼンやムナグロは猟鳥として好個(打って付け)とされ、江戸時代の料理書、延宝二年の『江戸料理集」や「伝演味玄集」などに焼き鳥料理として登場しているとされてます。このように日本人にとって昔から戦前期・戦後の暫くの間まで、特に冬季の貴重なタンパク源の確保の一つとしてカスミ網などを使って旅鳥・冬鳥を捕らえていた事実があります。国民全体が「背に腹は変えられぬ」時代で食料事情がいかに貧弱であったかの事実の裏返しですよね!

画像  ところで昭和33年(1958)に発行されたフィールドを中心とした小林桂助さん著「鳥類生態写真集」北隆舘発行P35で次のように解説しています。『冬羽のダイゼン上面一様に褐灰色で、下面は殆んど白い地味な鳥であるが、夏羽になると顔から下面にかけてまっ黒になり全く別種の鳥のようにかわる。しかし夏羽の下面がまっ黒になるには数年を要するようであり、このような老鳥は意外に少ない。幼齡のものは夏羽でも下面が白と黒との斑となっている。飛翔中ビィーウィー澄んだ声でなき飛翔時の腋羽の黒色であうことが目立つので他種と見誤ることは殆どない。ダイゼンが秋シベリア東北部の繁殖地から南下してくるのは8月頃からである。9月、10月にかけてはあまり多くないが、11月に入り他のシギ、チドリ類が南下し去ってしまった頃から数を増し、12月、1月、2月と冬期間を干潟に滞留している。4月に入ると夏羽の粧にかわって行き、5月までには大部分のものが繁殖地へと北上して行く、干潮時には干潟上や沼深い海辺に集まって、小型の貝、カニ類、ゴカイなどをとって食べるが、満潮時には岩礁上に集まって休み、内陸の水田や川畔に出ることは少ないようである。』 と本邦滞留時の羽模様の変化や棲息状況を詳細に記述していす。また、ダイゼンは一勢に飛び立つダイゼンの群は『飛翔時にわき羽が黒色である事が野外でのよい識別点』となるとも解説しています。

画像 これに関連した話で内田清之助さんが約50年前の小学館発刊、「鳥のむかし話」P151で義兄弟?ムナグロについても『ムナグロというシギの類(チドリ科)になると驚くばかり遠方までわたりをしまし。すなわち、この鳥はシベリヤのごく北の方にある繁殖地から遠くオーストラリヤまで、寒さをよけて旅行します。…』とも記述しています。このようなシギ類は日本に一時的に立ち寄る鳥を『旅鳥』と云います。
 ちなみにこの南北の緯度差が70~80度ですので、距離にして優に8000キロ以上となると思われます。渡りにどの位の時間を費やして南へ帰るのでしょうか?日本での渡り途中で体力を復活して、なんとかガンバッテ越冬地へ向かって貰いたいと願うばかりです。


画像 さて、話を名付けに戻しまして、和漢字では「大膳」と書きます。このうち漢和辞典で「膳」を調べてみますとその意味は『たっぷりゆとりある食物。ごちそう』、『昔、天皇の食事の料理を司った人』とも記述しています。
また、とある新聞連載記事ではこの名前の由来を『肉の味がよく、「大膳」すなわち宮廷(中?)用料理に用いられたからとされる。』とも解説しています。
そこでこれらの解説から身勝手に解釈すると、その昔、春秋期に現れるシギの仲間は美味しい季節料理の素材として、この鳥が宮中料理の大きな膳に登場していたのではないでしょうか。さて如何??

  なお、ダイゼンの學名を調べますと「Pluvialis squatarola: プルヴィアリス スカタロラ」、第一學名は”雨を好む鳥”、第二學名は”ベネチア地方の島名前”を意味するとされています。英名は「Grey Plover」、ムナグロは「Golden Plover」で両鳥名とも羽色が名を表しています。

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