メボソムシクイ(眼細蟲喰) Swinhoe’s Willow-Warbler 82

『2010年に「ウグイス科」から、突然、「ムシクイ科」の三兄弟誕生!』『形と行動が名を表しています。』『「枕草子」には「ムシクイ」も登場します。』『英名:柳に居る囀る人』
和名「メボソムシクイ:(眼細蟲喰)」は過眼線があり眼が細く長く観えて蟲を食べる鳥、行動が名を表しています。美濃国金華山(水道山)で出逢うことが出来ました。
さて、物凄く話は変わりますが「枕草子(四十一段、二)の鳥は」で「ムシクイ」について次のような記述があります。 作者「清少納言」さんは『一般人(ようもあらぬ者:身分や教養などの点で劣っている者)が「ウグイス」を夏・秋の終りまで、古びた声で鳴き葉に付いた蟲を喰っている様を見て、季節を過ぎたこの鳥を「ムシクイ」と呼んでいるのは残念で、不可思議である。』と記述しております。、

このお方は季節を過ぎた「ウグイス」を蔑む表現の一つとして使っていましたが、随筆「枕草子」にはウグイス・ホトトギスなどが登場しています。今から約千年前に秋季に人前で見ることが出来、且つ「無言のウグイス」によく似て、尾も短く鳴き声が冴えない虫を捕っている鳥を「ムシクイ」としてこれを呼んでいたました。この「ムシクイ」の呼び名が文献に出ている始まりと考えられます。「清少納言」さんは、枕草子三十一段「木の花は」で植物についても記述していますので、このお方はヒョットして博物学者であったかも??でも双眼鏡の無い時代であり判別は困難ですね!
画像ちなみに、現代のムシクイ類の學術分類はヒタキ科ウグイス亜科の一員で、かつての學名は「Phylloscopus borealis xanthodrayas  (Swinhoe)フィロスコパス・ボレアリス・ザンサドラヤス(スインホウ)、第一學名はギリシャ語の“木葉の番人”、第二學名は“北方の”、第三學名は“黄色”とそれぞれ意味していました。 2010年にこの「メボソムシクイ」と呼ばれていた種類が現代科学を用いた分子系統(遺伝子解析??)での違い、音声形質の異なり方、及び、形態的に区別できると云う、それぞれの理由で従来種のウグイス科「Sylidae 」から、ムシクイ科「Phylloscop+idae」が新設されました。 「メボソムシクイ」はPhylloscopidae xanthodrayasフィロスコピダ ザンサドラヤス:黄色の木葉の番人、「コムシクイ」は P. borealisフィロスコピダ ボレアリス:北方の木葉の番人、及び「オオムシクイ」はP.examinandus フィロスコビダ エグザミナンダス:分析的研究による木葉の番人??と独立種として三つに取り別けられましたが、今後、世界の鳥類の新・亜種の認定は分類学上では遺伝子解析になりそう???、でも、一目観てその名前(學名)・種類が判るのが判り易い自然科学かも!!
ところで余談ですが、この英名は名付け親からとった「Swinhoe’s Willow₋Warbler:スインホウの柳に居る声を震わせて歌う人?」となっています。このSwinhoeさんはイギリス出身で臺灣での外交官、領事(後に博物学者と評価されたかも??)を務めた人で,他に、エゾムシクイ、ヤブサメ等々十種以上學名登録をなすったお方す。
画像一方、現代汎用鳥図鑑でスズメ目ウグイス科は計25種です。しかし、1947年に発行された改訂増補「日本動物図鑑:北隆舘」では「メボソムシクイ」は燕雀目(えんじゃく目)、うぐひす科として17種が掲載されています。この内容はP109で『うぐいすト略々同大ナルモヲ尾ハ遥カニ短ク、色彩著シク黄色ニ富ミ、尾羽ノ數ハ普通ニシテ12枚ナリ、背面ハ全部橄攬色(かんらん色:熱帯原産の木の葉色?:オリーブ色では無い)、顔ハ黄白色ヲ呈シ、橄欖色ノ太キ過眼線アリ、翼ノ中・大雨覆羽ハ先端黄白色ヲ呈ス、尾羽ハ褐色ニシテ緣橄欖色、先端細ク白色ナリ、下面ハ黄白色ニシテ胸及ビ脇ハ橄欖色ヲ帯ブ、嘴ハ褐色ニシテ下嘴淡ク、脚ハ黄褐色ナリ、翼長67mm内外、尾長50mm内外、嘴峰14mm、本種ハあじあノ東北部ニ繁殖シ、冬季其ノ至ル種類ニシテ、本邦ニテハ全國ニ亘リ多數棲息ス、こむしくいト稱スルハ本種ハノ亜種ニシテ、本種程多カラザルモ全國ニ亙リ棲息シ、此ノ亜種ハ腹面ノ色彩めぼそノ如ク黄色ナラザルヲ異ナレリ、』と部位の色彩特徴などを詳細に記述しています。嘗ては、本邦の和名「ムシクイ」を附している鳥はメボソムシクイの他にカラフト・キマユ・エゾ・センダイ及びイイジマの6種類のムシクイが確認されています。
画像ここ美濃国で同時期に観ることができるのは「センダイムシクイ(千代蟲食)」で「メボソムシクイ」との違いは、部位特徴の頭央線が存在し繁殖地がアジア東北部の育ちであることです。體寸法を調べてみますと、「メボソムシクイ」は嘴峰10~14mm.翼長58~74mm.尾長45~55.跗蹠19~21mmとされていますが、「センダイムシクイ」は、嘴峰10~12mm.翼長59~66mm.尾長43~50.跗蹠17~19mm及び「エゾムシクイ」は嘴峰9~13mm.翼長57~67mm.尾長43~57.跗蹠17~19mmです。このような頭部の差異がある二羽でさえ寸法・體の大小の差は殆んど無く、違いが目立たず遠方での観察で瞬時に判別することは不可能かも知れませんね?? 
画像また、今から80年前(1935)の冨山房「大言海」ではムシクイとしか記述がされていませんが、その解説に『㈠、ムシカメ。ムシバミ。蟲ノ喰ヒテ損ズルコト、又、其痕。㈡、老鶯ノ異名。㈢、燕雀類ノ鳥。大キサ鶯ホドニテ、頭ハ橄攬色(かんらん木の葉色?:オリーブ色では無い)ニ灰白色ノ條班アリ、腹ハ白ク、美麗ナリ、候鳥(こうちょう:季節によってすむ土地をかえる鳥→渡り鳥)、夏来リテ、冬ハ暖地ニ去ル。数種アリテ、せんだいむしくひ、こむしくい、めぼそナドアリ(主トシテ蟲ヲ食フ故ニ云フ)』等々記述しています。
画像このように改訂増補「日本動物図鑑では「コムシクイ」の識別を「メボソムシクイ」の亜種にして、『メボソ程多からざるも全國に亙り棲息し、此の亜種は腹面の色彩「メボソ」の如く色ならざるを異なれり』と解説していますし、
現代の識者(斎藤武馬)さんも羽色は『「メボソムシクイ」は上面、下面ともすべての中で一番黄色味が強く』、他に「コムシクイ」は上面の色の黄色味が灰褐色で白身が強い、「オオムシクイ」はその中間の色で個体によっては変異があり、また、時期によっても羽色では識別が難しい』と仰っています。さてさて、野外現場での観察判別は??
今回、この美濃国水道山の「ムシクイ科」と出会ったときは順光(観察者の背中に太陽が在る光)で下面の色具合がとても白く観えました。識者のご意見通り一見して判明できませんでしたので、旧来の呼び名の「メボソムシクイ」とさせて頂きます





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