サメビタキ観察記:Siberian Flycatcher(雨鶲)

   トピックス;サメビタキ『名付け方が判らない。でも、英名は発見場所かも??』『ヒタキ三兄弟の背丈の順は小さい方からコサメビタキ、サメビタキ、エゾビタキの順です。』『異名「小揚(こあがり)君とも云います。』『貴方は「鮫」派、それとも「雨」派ですか?私は「雨」かな!』『赤芽槲(アカメガシワ)はヒタキ類の頼りなる木の実??』『その昔、本邦では長兄の「エゾビタキ」は未確認鳥でした。』  
画像   毎年、秋季の美濃国瑞龍寺嶺(水道山展望台)でタカ類が渡る前半戦に、日のよく当たる場所を好むトウダイイグサ科アカメガシワの木の実に遣って来ている「サメビタキ」、「コサメビタキ」、及び、「エゾビタキ」の三種のお姿を観ることが出来ますが、ほとんどが単独行動です。 
画像  今から71年前の鳥図鑑の北隆舘1947発刊「改訂増補 日本動物図鑑」では脊椎動物の鳥網で燕雀(えんじゃく)目「ヒタキ科」に属し16種ありますが、本種の「サメビタキ」と「コサメビタキ」の二種類のみ、なお、残念ですが!71年前の鳥図鑑には「エゾビタキ」の解説は掲載されていませんでした。






この「サメビタキ」をP103で次のように説明しています。『ひたき科ノモノハ態小ニシテ嘴ハ稍扁平、上嘴先端少シク屈曲シ、嘴毛長クシテ水平ニ列生ス、脚ハ短クシテ繊弱ナリ、小型ノ昆蟲ヲ食トスルヲ以テ農林業上極メテ有益ナル種類ナリ、雌雄ハ著シク色彩ヲコトニスルモ本種及ビこさめびたきハ殆ド同様ナリ、本種ハ極メテ地味ナル羽色ヲ有シ、背面ハ地色白色ニシテ大雨覆ト第三風切ノ羽縁ハ淡ク、下面ハ地色白色ニシテ喉ノ中央・腹部及ビ下尾筒トヲ除キ其他ハ凡テ幅廣キ褐色ノ縦斑ヲ有ス、大サ翼長80mm、嘴峰ハ10mm、本種ハ分布廣ク、あじあノ東北部ニ亘リ、冬季ニハソノ南部ニ渡行ス、本邦ニテハ全國ニ分布シ其數尠カラズ』と解説しています。
画像  一方、同頁の「コサメビタキ」の部位特徴の解説は『さめびたきニ類スルモ、形遥カニ小サクシテ旦體下面ノ羽毛ニ軸斑ナキコトニヨリ識別シ得ベシ、上面ノ色ハさめびたきヨリ少シク淡ク淡褐色ヲ呈シ、翼羽及ビ足羽ハ褐色ナリ、下面ハ灰白色ニシテ喉ノ兩側ト脇ハ淡褐色ヲ帶ブ、翼長70mm内外、嘴峰ハ大ニシテ13mmに達ス、本邦内ノ分布ハ全國ニ亙リ其數多シ、』と記述していますので、
両者の判別は一見して下面胸部に縦斑の有無で、これが無いのが「コサメビタキ」と云えます。本邦現代汎用図鑑ではその下面の特徴点として「サメビタキ」は胸から腹部は灰褐色で、下尾筒には灰色の軸斑がある。「コサメビタキ」が下面は灰白色から白色、淡白色で目立つ模様はない。翼の先から突出して見える尾は長い、ちなみに、胸から腹にかけて明瞭な縦斑があり、下尾筒には灰色の縦斑が有ると夫々解説しています。
しかし、双眼鏡等での判別を瞬時で確認することは難しくデジタル画像での事後画像ズームで再確認しかありません?

画像   少し話を変えまして、名付けに拘り「大言海」(昭和7年発刊)で手掛かり「さめ」を探索調してみますと一般的に和漢字は魚類の「鮫」ですが、一方の漢字で「雨」もあります。この意味は『さあめノ約、さハ、發語なり、はやさあめノ條を見ヨ:晴ルルカト見れば、叉、速ク降ル雨』とあります。もう一つは「白眼」と書いて「さめ」と読ませています。これを調べますと『めうまの條を見ヨとも「さめうま:眼の白キ馬ト云フ」』と記されてされています。ここで身勝手に解釈すれば「サアメ」の「ア」が略され「サメ」となり、加えてこの鳥の下面が軸斑模様で小雨が降っているように観え?、これを名付け漢字として「雨鶲」と書き、呼び名を「さめビタキ」となったかも???
前述のように、このサメビタキは『日本には夏鳥として渡来し、北海道では平地にも高山にも繁殖しているが、本州中部では亜高山帯で繁殖する。』、一方、コサメビタキ『低山帯、村里付近、また、時には大都市の公園や庭に巣をかけることもある。』と小林桂助著「鳥」P19に記述しています。
  このように「サメビタキ」は繁殖地(亜高山帯)との関係から範囲は全國的には限定的に分布しているようですので「其數尠からず」、また「コサメビタキ」繁殖地が人里林・公園等も含む低山帯と解説してあるように「全國に亙り其數多し」と云ってよいかも?
このように、サメビタキとコサメビタキの繁殖地が異なり、本州の我々人間と出逢う(顔見世)確率は相対的に少ないと考えます。現代でもその状況の変化は少ないと思います。

  また、これに加えて小林桂助さん著「原色日本鳥類図鑑1956年(昭和31)」保育社P31~32の内容によれば三兄弟(サメ及びコサメ・エゾ)の棲息地をサメビタキは『本邦での繁殖が北海道・本州などとし、四国・九州・対馬伊豆諸島・佐渡・隠岐・壱岐・八重山諸島などにも渡来する。』、コサメビタキは『日本には春期渡来し、低山帯や市街地の林縁の樹枝上に営巣する。繁殖場所は北海道・本州・四国・九州・対馬、各地の普通の鳥である。10月下旬ごろ渡去し、冬期は中国大陸南部・マライ諸島・インドシナ半島などに渡る。』及び、『エゾビタキの繁殖地はウスリー地方・沿海州・カムチャッカ及びサハリンとされ冬期はマライ諸島にて越冬し、日本には渡りの際、春は4~5月、秋は10月ごろ出現する。』と各々説明しています。ちなみに汎用鳥図監ではサメビタキの撮影場所が野麦峠(標高1672m)、一方、コサメビタキは戸隠村(役場の標高は678m)の撮影位置の説明がありました。 
画像   この鳥の學名を確かめますとその昔の源学名は Hemichelidon Sibirica :(ヘミチェリィドン,シベリイカ:Gmelin)ですが、第一學名はどの解説書にも説明はありませんでした。第二學名は「Sibirica: シベリア」を意味しています。
現在の学名はMuscicapa Sibirca(ムシカパ シベリカ)で、第一學名を無理やり分解すると「Musca:飛ぶ昆虫(ハエなど)を + Capio:捕える」となり、ここから英名も「Siberian Flycatcher:シベリアの飛ぶ昆虫を捕える鳥」として名付けられた模様で??、 また、英名は學名の名付け親が初見の場所名が付いているようですね??和名「サメヒタキ」は漢字で「雨鶲」と書くそうです。

画像  話が変わりますが、三兄弟の寸法比較等を参考に大小順に調べてみますと、「コサメビタキ」は英名Sumatran Brown Flycatcher、スマトラの褐色ヒタキで「翼長66~77mm、尾長42~53mm、嘴峰9~11mm、跗蹠12~13mm」、次に、サメビタキは英名Siberian Flycatcher、シベリアのヒタキの「翼長78~83mm、尾長51~56mm、嘴峰10mm、跗蹠12~14mm」となり、エゾビタキが英名Chinese Grey₋spotted Flycatcher中国の灰色斑のヒタキで「翼長81~90mm、尾長46~54mm、嘴峰10~12mm、跗蹠13~15mm」の順となります。
エゾビタキの翼長は他の二種に比べて一割程度大振りで、嘴峰及び跗蹠がほぼ一緒の長さであることが判ります。


今回、水道山でのアカメガシワの木の実の直径は4mm程度とされており、嘴の長さの凡そ半分の木の実を採餌していることになります。 ヒタキ三兄弟の背丈は小さい方からコサメビタキ、サメビタキ、エゾビタキの順となります。
でも、でも、離れたところから観察しますので、大きさ別での瞬時の種類確定は難しいです。やはり胸柄や胸部の明暗の程度が判断の参考になりそうです。
画像 なお、ここ水道山でヒタキ類が好む、「赤芽槲:アカメガシワ」は新芽が赤いとこから名付けられたトウダイイグサ科の樹木で、樹高は5m程度、この木の実を求めているヒタキ類を地上からウォチングするには適当な高さです。
また、実が熟すのは汎用植物図鑑によれば本州中央部では夏鳥たちの秋季の渡りの始まる時期と一致し、秋口で、「平地から山地の、緑縁部などで日の当たる場所を好んで生育するとされ、場所によっては庭木、公園樹になっており、都市部でも観ることの出来る樹木」、特に、「コサメビタキ」などは『低山帯、村里付近、また、時には大都市の公園や庭』に巣をかけると記述があります。 彼らにとって身近な樹木の実かもしれません。

画像  今回、観察した「サメビタキ」などの夏鳥は秋季に南下するため水道山に立ち寄って往き、どうも単独行動であり、飛翔中の猛禽類から避けるかのように濃尾平野を空中高く舞い上がりません。里山などを迂回し明日の糧としてこの木の実などを求めて単独行動し、池田山や伊吹山麓方向へと渡っていく様子が窺えます。この時期のヒタキ類にとっては里山の「アカメガシワの実」は秋季の渡り鳥の採餌物として頼りにしているのかも知れませんね?!
 なお、「サンショウクイ」の渡りは猛禽類からの危険回避の為なのか、どちらかと云うと十数羽単位の集団となって直接、伊吹山等の西の方向へ飛び去っている場面が散見されています。
 Web情報によれば2018年タカ類(秋の渡り)は9月2日から確認され始め、2017秋季の渡り数は全体で約5千羽に対して10月31日までに計、6703羽になっており2017年比の1.31倍です。トッピクとして東向きのハイタカがあらわれました。そろそろ小型の冬鳥が南下し始めているのかもしれませんね?



























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