アオクビアヒル(青首鶩)とマガモ(眞鴨):Drake & Mallard

トッピクス 『アヒルは野鳥の番外編ですがよろしく!』『アヒルもマガモの義兄弟(姉妹?)ですよね!』、『フィールドでは瞬時には判別の判断つかないそうです。』『「雄」を差し詰め「鴨界のカールおじさん」と呼んであげましょう!!。』
今回の話題は、「アヒル&カモ」についてです。アヒルは野鳥ではありませんので主にWeb情報で検索してみますと、「アオクビアヒルは原種のマガモに限りなく近い色柄。フィールドではどちらなのか瞬時には判断できないことがある」とされています。
その色彩の相違点をムリヤリ見つけ出すと、『胸の茶色がベタなのが「マガモ」で, 白濁しているのがアオクビアヒルかも?』と云ったところでしょうか?。 でも、個体差もあるので決定的とは云えなさそうです。

画像 でも、でも、両者のシルエット、体型は若干異なります。泳いでいる姿を比較すると、全体に丸みを帯びたマガモに対し、アヒルはヒップアップ気味なシルエット。マガモに比べると首を伸ばして泳ぐ姿勢も相違点と云えるかも?。
そして、大きさはマガモ(概ねカルガモ)と同程度のサイズです。これに対するアヒルは食肉用として品種改良されてきたこともあり、一・二廻りほど大きいそうです。

古くは約1300年前の奈良時代から、この「眞鴨:マガモ」の語句が万葉集(第十四巻二八)に『眞小薦(まをごも)ノ、節ノ間近クテ、逢ハヘバ、沖ツ麻可母(眞鴨)ノ、歎キゾ吾(ア)ガスル:まを薦(ごも)の、節の間、近くて逢はなへば、沖つま鴨(がも)の、嘆(なげ)きぞ我がする』に具体的な詩歌として書かれているそうで、ひょっとして「眞鴨」の別漢字は「麻可母」と書くカモ?? 
このカモは万葉の時代からコガモ(たかぶ)、トモエガモ(あぢ)、オシドリ(をし)及びアイサ類(あきさ)などと呼び名が既に区別されており、単に「カモ」と呼べば、ほとんど「眞ガモ」を指していたと云われています。

ところで、「マガモ」は漢字で「眞鴨」と書きます。大言海では「鴨:かも」の條で説明しており、『水鳥ノ名、候鳥(こうちょう:渡り鳥)ナリ。雁ニ後レテ来リ、雁ニ後レ帰ル、雄ヲあおくびト云フ、頭、頸、深紫ニシテ、緑ナル光アリ、胸、紫ニシテ、黑キ點アリ、腹ハ淡白ニ紫ヲ帯ビテ、黒キ少點アリ、背ハ灰色ニシテ、黒キ斑アリ、翅ハ蒼黒ナリ、種類多カレバ、分チテ、眞鴨トモ云フ、脂多ク、味、最美ナリ、野鴨、家ニ飼フ、あひるナリ。家鴨』と詳細に説明しています。 画像
一方, 戦後すぐに発刊された改訂増補「日本動物図鑑」P165, 中段の「マガモ」では、『雄ハ頭頸光澤アル緑色ニテ頸ニ白色ノ輪アリ、胸ハ暗栗色、背ハ褐色ニシテ灰色ノ細斑密在シ翼鏡ハ金属紫緑色ニテ前後ニ白縁アリ、雌ハ全體黄褐色ノ地ニ褐色ノ斑紋ヲ散在ス、翼鏡ハ雄ニ同ジ、翼長200mm、尾長85mm、歐州・北米・あじあノ大部分ニ分布シ其ノ北部ニ蕃殖シ冬季南方ニ至ル、我國ニテハ秋季全國ニ多數渡来シ、四、五月ノ候北歸スルモ北海道以北及ビ本州ノ二三ノ高山湖ニ於テハ蕃殖スルモノアリ、本種ハ俗ニあおくびト稱セラレ最モ美味且大形ナルヲ以テ、かも類中狩猟鳥トシテ第一位ヲ占ム、本種トあひるノ交雑セラルモノハなきあひる叉ハあひがもト稱シ各地ニ飼養サル。』と解説しています。部位の特徴の一つとして上尾筒の上部のカール(巻き上がった:Carly Tail)と記載されています。そこで、マガモの「雄」を差し詰め「鴨界のカールおじさん」と呼んであげましょう。
以上、昭和初期・戦後期の「辞典と図鑑」の内容を説明しましたが、部位の特徴や色加減の説明は非常に難しく、また、現代のデジタル写真技術でも光りの当たり具合により「眞なる色??」が再現できているとは限りません、改訂増補「日本動物図鑑」の解説に従い写真を利用し「雄・雌」の部位特徴についてビジュアル的に編集してみました。
画像 話が変わりますが、いつも参考にしているイギリスで発刊の鳥図鑑「RSPB Pocket Birds P147」、「Mallard:マガモ」の本文解説では、『Common, widespread, and adaptable, able to thrive in all kinds of environment from town parks to coastal marshes, the Mallard is the most familiar of all the ducks. : よく知られ、広範囲に棲息し順応性が高く、街の公園から沿岸の湿地にかけてあらゆる環境で上手く育つことができる。全ての鴨の中でもこの「マガモ」が一番、馴染み深い』、『The breeding male’s glossy green head and both sexes sport a characteristic purple-blue wing patch or speculum throughout the year. : 繁殖期の雄は光澤のある緑色の頭部と白い首輪があり瞬時に見分けが付く。雄と雌ともに特徴的な羽斑また、翼鏡は年中変らずパープルブルー色(紫青?)の羽根である。』
画像 また、『Most farmyard ducks are derived from the Mallard, and interbreeding has produced a range of variants on the original plumage pattern that can be confusing. Yet they still have their basic Mallard character, and are often easy to identify. : 農場で飼っている殆どの鴨は、「マガモ」が起源であり、そして、交配することは新たに混乱するような訳のわからない雑種の羽模様が生まれ、でも依然として、それらは本来の「マガモ」として、基本的な特徴を持っていて、その特徴は容易に見つけることが出来る。』と記述しています

画像 バードウォチング発祥地、イギリスで発行している同鳥図鑑は323種類の解説を行っています。内容構成は、本文説明や飛翔時の翼などの部位の特徴説明が記載されています。現代の日本の鳥図鑑は写真を中心として解説していると見較べますと丁寧さを少し感じ、一味違い新鮮に思えます。
この図鑑の筆者の一人Jonathan Elphickさんは自然史ライターで鳥類学を修め45年以上、熱心な野鳥観察者です。多くの専門雑誌などに寄稿し、それだけではなく鳥類や他の野生生物について色々な本の著者でもある人物です。筆者の経験からこの図鑑がコンパクトで使い易く、本文に加えてクローズアップ写真を利用し鳥の特徴や色調の説明、挿図による飛翔時の羽の特徴や棲息情報、専門的情報、及びヨーロッパでの棲息分布図などを掲載しています。そこで今回、「マガモ」の項目を利用してこの図鑑のレイアウト等を見ていただきます。なお、このハンドブックは名古屋丸善の店頭で購入(£8.99:日本円??)しました。

画像 そこで、このアヒルを紹介しますと添付画像は、美濃の國からJRの電車で略一時間ほどの安城市の安城公園の池で観たものです。此処はゲージも無く、周りは散策道がありますが、浮島的に屋根付き棲家が有りました。犬や猫が襲う心配もなく安心して過ごしているようで、絶好な撮影ポイントと思いました。

ここで、いつも名前を付けることを調べている「大言海」では、鶩(あひる)のことを〔本名、あひろノ轉、悪(わろ)し、わるし。かろがろ、かるがる。〕足廣(あしびろ)の略(足音:アシオト、あおと)足ノ蹼(ミズカキ)、大キクシテ廣キヲ云フ、京畿ニテ、ひるト云フハ、上略ナリ、東京ニテ、あひト云フは、下略ナリ)、㈠ 叉、あひろ、家ニ蓄フ水鳥、食用トス、脂多シ、形鴨ニ似テ大キク、雄ハあをくびノ鴨似テ、身ニ文采(モヤウ)アリ、雌ハ、黄ナル斑アリテ、文采少シ、或ハ黑、白、種種ナリ、雌ハ、常二鳴キテ喧シ、水ニ泛ビ、陸ニ歩シテ、翼アレドモ飛コト能ハズ、脚、極メテ短シ、自ラ卵ヲ抱カズ、人、鶏ヲシテカヘサシム、京都ニテ、ひる。東京ニテ、叉、あひ。(あひがもノ條ヲ見ヨ!)
また、同書109頁の鶩鴨〔あひがも、あひるヲ、あひノミトモ云フ)では、㈠、鴨ト鶩トノ雑種ノモノ、㈡、夏時食用トス鶩。と夫々説明しています。

この出典説明の重修本草網目啓蒙(1803刊)では、『足に、蹼アりテ闊(ひろ)シ、故ニ、あひろトモ云フ』とも附記しています。この説明では名付けが「あしびろ(足廣)⇒あしひろ⇒あひろ⇒あひる(鶩)」へと轉じて行くと記述しています? ここで、特徴である足廣及び3趾間に完全に蹼ある「蹼足:ぼくそく」が判る写真を「マガモ」と一緒に添付します。しかし、アヒルの方が何世代の間に陸で歩く機会が多いのか脚が骨太に進化して来ているのでしょうか??
画像 ところで、改訂増補「日本動物図鑑」P165下段では『あひるハ主トシテ肉用ヲ目的トセル家禽ナルモ、卵モ利用セラレ叉其羽根蒲團用トシテ優レ多大ノ需要アリ、にわとりニ次ギ重要ナル家禽トシテ廣ク各國ニ飼養セラル、本種ハ世界ニ廣ク分布スル野鴨まがもヲ原種トシテ作出セラレタルモノニシテ、家禽トシテノ起源ハ中国ニ於テ最モ早ク、歐州ニ飼養セラレタルハ遥ニ後期ナリ、元来まがもハ最モ容易ニ飼育セラルルモノナルヲ以テあひるモ恐ラク各地方ニ於テ獨立ニ野生ノまがもヨリ作出セラレタルモノナルベシト云フ、現在我國ニテ多ク見ラルル青首鶩ト稱スル品種ハ最モ原始的ノモノニテ羽色殆ドまがもト異ラズ、本ヒンシュハ中國ヨリ渡来セラルモノナリ云フ
外国種ニテ著名ナルハぺきん・らんなー・るーあん・かーきーきゃんべる等アリ、臺灣島ニ飼養セラルヽ臺灣鶩一名ばりけんハ前記ノあひるトハ種類ヲ異ニシ、南米ニ野生スルCairina moscata を原種トモノニテ、同島ニテハ肉用トシテ多數飼養セラル』と説明しています。
この鳥は、野鳥として「外道」かもしれませんが「マガモ」と密接に関係しています。しかし、このような家禽は人間の生活と野鳥と深い関わりがある割合には現代の鳥図鑑で、ある面、詳しくこれを紹介していませんね!

  これに関連して、アヒルは「自ラ卵ヲ抱カズ」と説明にあるように、内田清之助(1884-1975:日本鳥学会を創立)さんが約50年前の昭和36年「小学館発刊、鳥のむかし話p148」で、家禽「シチメンチョウ」は体が大きいので、巣鳥又は母鳥としてニワトリやアヒルなどの家禽などのたくさんの卵を一度に温めることが出来、大変重宝がられ経済的であるとも記述しています。卵を孵化させるための孵卵器などの整備が出来ない時代は、七面鳥などの家禽を利用していたようです。
画像 なお、家禽類である「アヒル」の学名は『Anas Platyrhynchos Domestica』「ニワトリ」は『Gallus Gallus Domestcus 』 及び「ガチョウ」は『Cygnopsis Cygnoid Domesticus 』と第3語には「家庭内」を意味する『ドメステック:Domest+ica,cus,』がそれぞれ付加されています。
また「マガモ」の学名は『Anas platyrhynchos  platyrhynchos 』となっています.なお、アヒルは第一学名の「Anas」はラテン語で「カモ」を意味し、第二・第三学名「platyrhynchos」は「嘴の幅の広い」だそうで英語でもplaty(幅が広く平い)いう単語もあります。
 したがって、青首アヒルのルーツは「マガモ」です。これら「アヒル」は野鳥鴨と関わりが深く、かつ、身近でよく知られていますが、現代鳥図鑑などでは野鳥で無いので掲載されず仕舞いです。詳しい説明もありませんので、名付け方を中心に今回、野鳥「番外編」として掲示してみました。

話しが少し逸れますが、「大言海」辞典の後段㈡には『あひる』明和、安政ノ頃(1764~1860)、江戸深川ニテ卑シキ賣女ノ渾名(あだな)、揚餞(アゲゼン:遊女ノ勤ニ拂フ銭)ノ少キヲ、緡(さし:ひもで通した)ノ銭(あし)、短シ、トテ、名トスト云フ。』の記述もあり、『アヒルの脚』が短いことから当時の庶民の生活の中で、この「あひる」の言葉を揶揄的に使用していたことが判ります

今回も、クドイ内容でスイマセンでした!!!

















ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック