ルリビタキ(瑠璃鶲):Bluetail

トピックス;ルリビタキ『和英名は色が名をなす。』『なぜ和名でヒタキが付くのにツグミ科なのでしょうね!』『昭和初期、今から86年前の邦文辞典の大言海にもツグミ科と明記されています。』『この辞書では瑠璃(ルリ)色は紺碧(るり:コンペキ)と漢字で表記して「ルリ」色と読ませています。』

和名「ルリビタキ」:漢字で「瑠璃鶲」と書きます。ホームタウンの「ながらの森」で出逢えました。特に、毎年、秋季末から春季の始まり頃までの山里の森や、場合によっては市街地の庭先まで遣って来てくれます。
現代汎用鳥図鑑の解説によればルリビタキはツグミ科に属し、全長20㎝以上のトラツグミなどの大型ツグミ類と、20㎝未満を小型ツグミ類と便宜上分類しているようで、ルリビタキは小型ツグミ類に位置づけられています。このうち一般的に観察しやすい小型ツグミ類にはルリビタキ、ジョウビタキ、ノビタキなどが本邦に棲息しています。

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では、今から72年前の鳥図鑑の北隆舘1947発刊、「改訂増補 日本動物図鑑」では脊椎動物の鳥網で燕雀(えんじゃく)目「ツグミ科」に属し25種ありました。このルリビタキを次のように説明しています。『小形ノ美シキ種類ナリ、雄ハ背面暗青色ニテ腰・上尾筒及ビ雨覆ノ一部ハ空青色ヲ呈ス、風切羽ト尾羽ハ褐色ニシテ外縁ノミ暗青色ナリ、顔ハ黒ク、太キ短キ白色ノ眉斑アリ、腹面ハ黄白色ニテ、脇ハ橙黄色ヲ呈ス、嘴ハ黒ク脚褐色ナリ、雌ハ背面橄欖(かんらん)褐色(オリーブ??褐色に近いかも)ニテ、上尾筒ト尾羽ハ雌ニ似テ一層暗色ナリ。腹面ハ汚白色ニテ胸ハ灰褐色ヲ帯ブ。あじあノ東北部ニテ繁殖シ其ノ南部ニテ越冬スル種類ニテ、樺太ヨリ臺灣迄ゼンコクニ棲息シ北部地方ニテハ繁殖ス』と記述しています。
また、「原色日本鳥類図鑑」、及び「コバケイ図鑑」の著者でもある日本の在野の鳥類研究家で鳥類観察者の方々に親しまれている小林 桂助(こばやし けいすけ:1908年~- 2000年)さん著書『鳥:保育社(1996)』の中の解説では、『雄の成鳥は上面、尾とも美しい暗青色ですが、若鳥は暗緑色とされ雌と区別がつきにくい、北海道、本州の亜高山帯の森林の中でたくさん繁殖しており、冬は山ろくや村里近く、また、市街地の庭に漂行してくる。繁殖期にはピョロロ、ピョロロ、ピチュ、ピチュ、ピーとよく通る声でなく。冬はピッ、ピッとなくほか、尾を上下に振りながらクワッ、クワッ、という声をだす。繁殖期にみられる雄は暗青色だけであるが、冬に山ろくへくるものは成鳥が少なく、雌に似た色の若鳥が多い。』とも記述しています。
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ちなみに、部位寸法は嘴峰10~11mm、翼長73~84㎜、尾長52~63㎜、跗蹠23~24mmとなっています。身近なスズメの嘴峰11~12mm、翼長65~70㎜、尾長46~56㎜、跗蹠17~19mmでやや大きいですね?
ところで、話が変わりますが、この鳥の學名を確かめますとTarsiger Cyanrus(Pallas) :ターシガー,シヤナラス、(パラス)ですが、第一學名は“特徴のある跗蹠”で英単語には「Tarsus:跗蹠(ふせき)」と云う言葉もあります。第二學名は「Cyanurus: 暗青色(シアン色)」を意味しています。学名の邦訳名は「シアン色の脚」と云っても良いかもしれませんね??

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英語名を現代汎用鳥図鑑では「Red-flanked Bluetail : 赤い脇腹の青い尾羽」や「Red-flanked Bushrobin : 赤い脇腹の青い藪のコマドリ」という英名を採用しているのもありますが、前述の小林桂助著「鳥:保育社」P161では「Siberian Blue-Tail:シベリヤの青い尾羽」の鳥と解説しています。この鳥の棲息,生誕地等分布からするとシベリヤ大陸を中心としていますので、英名は「Siberian Bluetail:シベリヤの青い尾羽」の鳥でも良さそうです。
このパラスさんは、他にツグミ科のジョウビタキ、ノゴマ、及び、コルリの名付け親にもなっており、他種としてスズメ科のホホアカ、コホホアカ、キマユホオジロ、コウテンシ及びムネアカタヒバリなどの學名も名付けています。このお方はスズメ類をお得意とする鳥類学者のお一人かも??
名付けに拘り、86年前の辞典「大言海」(昭和7年発刊:1932)にルリビタキの手掛かりがありますので調べてみますと、
「瑠璃鳥:るりちょう」『略して、瑠璃。燕雀類の鳥の名前。大きさ雀に似たり、大、小二種あり。大瑠璃は鶲(ヒタキ)科に属し、頭、背、翅、紺碧(るり)色にて、頬より胸に至るまで黒く、腹、白く、背、脚、尾、蒼色なり。
小瑠璃鳥は鶇(ツグミ)に属し、頬より、胸、腹に亘りて白く、尾、黒。共に園筈能く囀る。竹林鳥』とも記述しています。

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このように瑠璃鳥の内容をヒタキ科とツグミ科の二者に分類し解説しています。当時、この辞典も鳥図鑑の役割の一部をなしていたように思われます。ちなみにヒタキ科の大瑠璃鳥はオオルリです。
なお、当時、頭部を中心とした背などの「るり色」をやや黒みを帯びた青色を意味する漢字を紺碧(コンペキ)と表記してルリ色と読ませ、背中や脚などの色を蒼色と使い分けしていたようで、日本の漢字色表示の奥深さがなんとなく判りそうです。
なお、ヨーロッパのRSPB(Royal Society for the Protection of Birds:王立鳥類保護協会)発行の英国鳥図鑑「RSPB Birds of Britain and Europe」Rob Hume著では「Red-Flanked Bluetail」をRare種(P416)として解説しています。
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その内容は『This rare bird inhabits dense northern forest. Males are slaty blue above, brighter on the crown, with a white chin and pale underside edged orange. Females and immatures are browner, with dusky chests and orange flanks; the tail is dull steel-blue. The white throat stands out as a well-defined wedge. In general, the form and behavior resemble the Robin (see p268), but it is shy bird. It frequently flicks its wings and tails.;この珍しい鳥は北欧の密生した森に棲息している。雄は上部がスレートのようなブルー(灰青色?)、頭頂はより明るく、白い顎先と淡いオレンジ色の縁、雌と幼鳥たちは褐色がかって、灰色罹ったくすんだ胸元、オレンジ色の脇腹;尾羽は鈍いスチールブルーで、その白色の喉は輪郭線がハッキリと際立っている。
一般に、形と行動はコマドリに似ていますが(p268を参照)、それはシャイな(臆病?ものに驚き易い!?)鳥で翼と尾を頻繁にピクピクと動かしている。

ここでイギリスロンドンを訪れた際に一般住居の庭先で「ヨーロッパコマドリ」の撮影ができましたので画像を添付しておきます。

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